26/02/2021
【小規模企業共済と確定拠出年金って併用できるの?】
ファイナンシャル・プランナーの若松です。
前回、経営者のための老後資金形成の手段としては
・確定拠出年金
・小規模企業共済
の2つがまず検討するべき手段というお話をしました。
では、この2つを同時に利用することは可能なのでしょうか?
結論から言えば可能です。
ではその場合、どちらをどれくらい掛けるのが良いのでしょう?
それぞれの特徴を見ていきながら考えていきましょう。
①両制度に共通するのは、
「全額所得控除」と「退職時の節税効果」の2点です。
所得控除は、掛け金の分だけ所得から引かれるというもので、例えば月5万円を積み立てるとすると年間60万円になりますが、これがそのまま収入から引かれます。
もし年収800万円の方だとすると、課税所得はおよそ450万円なりますので所得税の税率は20%になります(概算)。
税額を比較すると
【所得税】
積立前…450万円×20%-427,500円
=472,500円
積立後…390万円×20%-427,500円
=352,500円
積立前と積立後の所得税削減メリット
472,500-352,500=120,000円(年間)
【住民税】
積立前…450万円×10%=45万円
積立後…390万円×10%=39万円
積立前と積立後の住民税削減メリット
45万円-39万円=60,000円(年間)
所得税・住民税で年間18万円も税金が安くなります。
これをもし20年間続けるとすると、360万円も税金だけでお得になります。
ちなみに、生命保険にも「生命保険料控除」という税制優遇がありますが、こちらは限度額が5万円まで。上記と同じシミュレーションをすると、所得税メリットは1万円。20年続けても20万円。
いかに確定拠出年金と小規模企業共済の税制優遇が大きいかがわかります。
②次にメリットの違いを見てみましょう。
まず確定拠出年金は、掛け金を自分で運用して増やすことができます。リターンの大きい株式や海外資産に長期で投資をすることで、ただ積み立てをするよりも効率よく資産を増やすことができます。
①の例と同様、月5万円(年60万円)を20年間積み立てた場合、元本は1200万円ですが、もしこの20年間の運用成果が平均年利4%だとすると、1800万円以上(600万円の運用益)になります。
この「運用ができる」というのがメリットの一つですが、さらに大きいメリットが「運用益の非課税」です。
先の例のように600万円の運用益があった場合、確定拠出年金ではなく通常の投資信託や株式等の場合、20%の税金がかかります。
ですので、手取りは80%、480万円ということになります。
これが確定拠出年金の場合、運用益に税金がかかりませんので、まるまる600万円を手にすることができます。
一方の小規模企業共済は、運用も出来ませんし、利益分への非課税制度もありません。
が、掛け金に応じた資金借り入れが可能です。
これは事業資金としてであれば、資金使途の幅は広いため、いざというときの緊急資金のあてにすることもできます。
また、確定拠出年金は、60歳や65歳の積み立て終了時まで一切途中解約できませんが、小規模企業共済は解約は比較的自由です。
とはいえ、20年未満での解約は元本割れしてしまうので注意が必要ですが、自由度が高いという意味ではメリットと言えます。
増やすなら確定拠出年金、守るなら小規模企業共済、と言えるでしょうか。
③メリットデメリットともに違いがある両制度ですが、言うまでもなく、可能であればどちらも掛けるのがいいと思います。
しかし、前回の記事でもお伝えした通り、小規模企業共済は20年未満の解約は元本割れしてしまいますので、積み立てが続けていける金額で始める方が無難です。
一方の確定拠出年金は、所定の年齢(原則60歳か65歳)までは一切資金を引き出すことはできません。中途解約できる場合もありますが、要件がかなり厳しく、ほぼ不可能と思っておいた方が良いです。
したがって、どちらも可能な限り積み立てた方がいいのですが、無理して掛けすぎるといざという時に困ってしまいます。十分な生活資金と、数年以内に使用予定の資金を確保した上でなお余裕のあるお金で活用するようにしましょう
---まとめ---
小規模企業共済と確定拠出年金の併用のポイント
①掛け金はどちらも全額所得控除
②運用メリットをとるか、緊急時の防衛メリットをとるか
③中途解約は難しいため、余裕のあるお金で活用する
20年未満の解約は元本割れ、あるいは少なくとも60歳まで解約不可というのはそれなりに大きいデメリットかもしれませんが、それを補ってあまりあるメリットがどちらの制度にもあります。
注意点に気をつけて活用することができれば、ただただ銀行に積み立てるよりもはるかに効率的な資産形成の力になってくれます。
どちらも、メリットとそれに伴うデメリットをきちんと把握した上で、是非積極的に活用したい制度です。