26/07/2026
# 2025年時点におけるカンボジア銀行業界の成長と将来性
# # 1.カンボジア銀行業界の成長
2025年末時点において、カンボジアの銀行・金融業界は、長期的に大きな成長を遂げています。一方で、現在は単なる規模拡大から、融資の質、リスク管理、デジタル金融サービスなどを重視する「質の高い成長」へと移行する重要な段階にあります。
カンボジア国立銀行(National Bank of Cambodia:NBC)のデータによると、2025年の銀行セクターの総資産は前年比約8.2%増加し、約1,002億米ドルに達しました。また、顧客預金は約12.4%増加し、貸出残高も約5.4%増加しています。
銀行・金融システム全体では、総資産は約1,018億米ドル、預金残高は約657億米ドル、貸出残高は約630億米ドルの規模に達しています。
この数字からも、カンボジアの銀行・金融市場が、同国経済において非常に重要な役割を担っていることが分かります。
# # 2.銀行業界の成長を支える要因
カンボジア銀行業界の成長には、長期的な経済成長、外国直接投資(FDI)の流入、輸出産業の発展、都市化、中小企業(SME)の拡大、そして国民の金融サービス利用の増加などが大きく影響しています。
また、カンボジアには中国、日本、韓国、ASEAN諸国をはじめとする海外企業が進出しており、外国企業の事業活動の拡大に伴い、銀行に対するニーズも多様化しています。
特に今後は、法人向け銀行業務(Corporate Banking)、貿易金融(Trade Finance)、国際送金、外国為替(FX)、給与振込サービス、SME向け融資、クロスボーダー決済などの分野において、さらなる成長が期待されます。
# # 3.デジタルバンキングの急速な発展
カンボジア銀行市場における最も大きな成長分野の一つが、デジタルバンキングです。
近年、カンボジアでは現金中心の決済から、モバイルバンキングやQRコード決済への移行が急速に進んでいます。
特に、カンボジア国立銀行が推進する「Bakong」や統一QRコード規格「KHQR」の普及により、異なる銀行・金融機関間での送金や決済が容易になりました。
現在では、大型店舗だけでなく、小規模店舗や個人事業者においてもQRコード決済が広く利用されています。
このデジタル化の進展は、FinTech、Eコマース、デジタル融資、電子決済、国際送金、クロスボーダーQR決済など、新たな金融ビジネスの成長機会を生み出しています。
# # 4.今後期待される成長分野
カンボジア銀行・金融業界には、中長期的に大きな成長余地があると考えられます。
特に注目される分野は以下の通りです。
① Digital Banking & FinTech
銀行サービスは、従来の支店中心型からスマートフォンを中心としたデジタルサービスへと移行していくことが予想されます。
② SME Financing
カンボジア経済を支える中小企業や個人事業者に対する融資・金融サービスには、依然として大きな潜在需要があります。
③ Corporate Banking & Foreign Investment
外国企業のカンボジア進出が拡大することで、法人融資、貿易金融、外国為替、国際送金などの需要増加が期待されます。
④ Cross-border Payments
ASEAN、中国、日本、韓国などとの貿易・投資関係の拡大に伴い、国境を越えた決済・送金サービスの重要性がさらに高まると考えられます。
⑤ 現地通貨リエル(KHR)の利用拡大
カンボジア政府および国立銀行はリエルの利用促進を進めており、今後はリエル建て預金、融資、決済などの金融商品・サービスにも成長の可能性があります。
# # 5.銀行業界が直面する課題
一方で、銀行業界の成長性だけでなく、リスクにも注意する必要があります。
特に重要な課題の一つが、不良債権(Non-Performing Loans:NPL)の増加です。
2025年には、不良債権比率が銀行セクターで約8.9%、その他金融機関で約8.3%の水準となっています。
その背景には、不動産・建設市場の低迷、借入需要の変化、一部企業や個人の返済能力低下など、複数の要因があります。
そのため、今後の銀行経営においては、融資量の拡大だけではなく、信用リスク管理(Credit Risk Management)、債務再編(Loan Restructuring)、貸倒引当金(Provisioning)、担保評価(Collateral Valuation)、そして優良顧客の選定がより重要になると考えられます。
# # 6.今後の展望
総合的に見ると、カンボジアの銀行・金融業界は、すでに「小規模な新興市場」から次の発展段階へ移行しつつあります。
2025年には銀行・金融システムの総資産が1,000億米ドルを超える規模となり、預金やデジタル決済の利用も引き続き拡大しています。
しかし、今後の成長は単に「融資を増やす」ことだけではなく、
デジタルバンキング × 融資の質 × SME金融 × 法人金融 × クロスボーダー金融 × 外国直接投資(FDI)
といった分野が重要になると考えられます。
特にカンボジアは、ASEAN地域の経済統合、外国企業の進出、デジタル決済の普及、若い人口構成などを背景に、銀行・金融サービス市場には今後も大きな成長余地があります。
その一方で、持続的な成長を実現するためには、不良債権の管理、健全な融資審査、金融消費者の保護、金融機関のガバナンス強化などが重要となります。
したがって、カンボジアの銀行業界は今後、**「規模の拡大」から「質・デジタル化・国際化を重視した成長」へ移行していくことが期待される市場**であると評価できます。